【完全版】店舗内装|業者選定・相場・手順・資金調達・エリアを業種別に紹介

 

この記事では、店舗開業する際に知っておくべき店舗内装の注文の方法や業者の選定基準、内装工事の相場、オープンまでの進め方、おすすめの資金調達方法と出典エリアを業種別に解説します。

店舗開業する上でスケジュールやコスト、デザインの知識を知っているのとそうでないのとでは大きな違いが生まれます。

今回は店舗開業の基礎的な知識から専門的な用語の解説まで、知っておくべきこととやるべきことをわかりやすくまとめています。設計会社や施工会社を決める前に、ぜひチェックしてください。

 

目次

店舗内装工事のスケジュールについて

店舗内装工事のスケジュール

 

事業計画(1~2ヶ月)

最初に、開業したい店舗のコンセプトや、そこから得たい売り上げ・規模感を考察して、事業計画を立てます。店舗開業計画はこの事業計画が必須になっていて、この後に決める物件や、内装費用の算出の元となります。

例えば、事業計画よりも物件探しを先に行った場合、自分が開業したい店舗はどれくらいの面積が必要で、どんなレイアウトにするべきかがわからなくなってしまいます。

物件の構造やテナントの条件によっては、自分が実現したい内装が叶わない場合があります。設計会社や内装業者に問い合わせる時も、事業計画は必要と言っていいでしょう。

 

物件探し(0~6ヶ月)

事業計画が定まったら、店舗の計画に合った規模の物件を探します。開業したい店舗に合った条件を満たす物件は多くありません。まずは大まかに条件が合う物件を探し、その物件情報を元に施工会社に相談しましょう。

また、売り上げを達成できる面積や立地、賃料に無理がないかなど、経営に関する要素も深く関わります。さらに最も重要なのが、電気・水道などの設備容量、消防法の法令関係が問題ないかを確認することです。

ビルインの物件は店舗の入り口や外からの視認性を確認しておくのがおすすめです。プラスで近隣の店舗の営業時間や顧客層も確認しておきましょう。

 

内装会社に問い合わせ

事業計画と物件情報がある程度手に入ったら、資金調達を行います。物件探しをしてから融資相談を行い、資金調達が固まる間に物件が取られてしまうケースがよくみられます。

資金調達が完了しないと、物件取得費にいくらかけられるかわからない状態で進めることになってしまいます。

事業計画が定まったら、自分の希望に近い物件情報を持って、内装会社に概算の「融資用の見積もり」をもらいに行きましょう。

融資を受ける時、店舗の内装や設備費用にいくら使うのかがわかる書類が必要になります。そこで使えるのが融資用の見積もりです。

 

融資審査申し込み

 

融資用見積もりを取得できたら、銀行や政策金融公庫にて審査申し込みをしましょう。基本14日ほどかかる場合が多く、見積もりをお願いした会社にその内容を共有しておきましょう。

同時に進めている物件探しが上手くいけば、候補の物件に申し込みをしましょう。

この段階で事業計画・候補物件の選定・資金調達が完了していれば現地調査に進むことができます。内装会社や設計事務所に連絡して、当日立ち会いの上で現地調査をしましょう。

 

ラフプランの作成

現地調査を元に、内装会社や設計事務所に内装プラン図と見積もりを作成してもらいます。開業したい店舗とズレがないか、費用の中で修正するところをすり合わせて、より詳細な内装計画にしていきます。

 

設計契約

計画と見積もりが合えば内装会社や設計事務所と契約を結び、より正確な見積もりを出すための設計を進めます。店舗の間取りや電気・給排水・空調なども含めた詳細な図面を作成し、施工会社で詳細な見積もりをつくる流れとなります。

2〜3回の打ち合わせを重ね、図面が確定できたらいよいよ工事へと移ります。

 

着工〜完工

工事の期間は、一般的な飲食店の規模なら1ヶ月ほど。大規模な工事や1フロアを使ったオフィスなどは1ヶ月半から2ヶ月かかることも。工事を始められるのは物件取得後なので、この期間は賃料が発生します。

 

施主検査・引渡し

工事が完了したら必ず施主検査を行いましょう。ここで言う施主とは店舗オーナーのことです。施工の仕上がりに問題がないか、設備はしっかりと所定の位置に設置されているかなどを確認しましょう。

 

オープン

内装が仕上がって、什器や家具を搬入したらいよいよオープンです。

 

内装業者について

店舗内装工事業者の種類

 

工務店

工務店とは、店舗の内装の他にも一般の住宅の建設やリフォームを含む広い範囲の施工を行っている業者を指します。特徴としてはデザイン・設計・施工を一貫して行うことができるため、問い合わせが窓口を一箇所で完結することができます。

ポイントは、その工務店が店舗内装の経験をどれだけ持っているかと言う点です。HPの施工実績は必ずチェックし、過去のオーナーからの口コミも参考にしてみましょう。逆に店舗の実績が多ければ、設計から施工まで一括で任せることができるので、余計なコストを削減することにもつながります。

 

デザイン会社・設計事務所

デザイン会社や設計事務所では、基本的にデザインや設計のみを行うため、施工会社は別で見つける必要があります。デザインの凝った空間づくりをしたい場合や、自分の好みのデザイナーに頼みたい場合はこういった会社を選択するのもいいでしょう。

ポイントは、デザイン会社や設計事務所に依頼する場合はおおよそ施工金額の10%〜15%の設計量がかかる点です。上記で紹介した工務店とは違い、全体としてかかる費用は割高になる可能性が高いです。ただ、設計会社の中でも施工可能な部署がある場合もありますので、問い合わせの段階で確認してみましょう。

 

内装業者

内装業者は、店舗空間のデザイン・設計・施工全てを担当できる専門業者のことを指します。工務店と同じく一括で発注できる点が大きな特徴です。最近では飲食店専門、美容サロン専門のような特定の業態の内装に特化した内装業者も存在します。

内装業者に問い合わせる際は、複数の業者から相見積もりを取ることができるため、料金や提案内容を比較検討しながら選定することができます。

 

不動産会社紹介の業者

 

内装業者の例として、物件探しの際に問い合わせた不動産会社から紹介される内装業者も選択肢の一つです。物件の情報が不動産会社から直接共有され、工事する物件の状態も慣れているものが多いので、スムーズに工事を進めることができます。

ポイントは、紹介を挟むので内装費が割り増しになっている可能性があると言う点です。実際の施工金額に加え、内装業者から不動産会社に支払われる紹介料が上乗せされているケースも少なくありません。

物件を契約してから、内装業者を不動産側から指定されてしまう例も多いので、気になる方は物件契約前に確認しておくことをおすすめします。

 

開業コンサル会社紹介の業者

上記の例と同様に、店舗の開業コンサルの会社から内装業者を紹介されるパターンもあります。こちらも開業に向けての計画や要望がスムーズに伝わる反面、同じく紹介料の上乗せが発生している場合もありますので、気になる方は事前に確認してみましょう。

 

店舗内装工事業者選びのコツ

 

施工業者の施工実績

内装工事業者を選ぶ上で、最も重要なのがその会社の施工実績です。相応の件数をこなしているかどうかはもちろん、自分が開業したい店舗の業態の施工実績があるかも合わせてチェックしておきましょう。

ポイントは、その会社のHPに掲載されている施工事例です。工事の金額感やデザイン、基本的な工期をチェックしておくと、問い合わせた時にイメージしやすいです。また、過去に担当した店舗のオーナーからの口コミやコメントも重要な判断材料になります。

 

店舗内装の知識

内装工事の業者ですから、もちろん店舗内装工事の知識があるのは当然です。ですが、実際に施工するのは職人になるため、担当する業者自身はあまり内装に関する知識が豊富でない可能性があります。

内装の仕上がりに関する知識法令に関する知識、自分のやりたい業態に関する知識をしっかり持っている業者か、打ち合わせを進めながら確認していきましょう。

 

内装工事後のアフターメンテナンス

意外と見落としがちなのが、内装工事が終わった後のアフターメンテナンスです。店舗は営業していけば素材は劣化しますし、設備のトラブルはつきものです。そんな時、内装工事をお願いした業者にアフター対応を依頼できればスムーズに済みます。

ですが、中には引渡しの後に急に連絡がつかなくなってしまい、アフターメンテナンスは他の業者に依頼し直さないといけない、というケースも少なくありません。仕上がりに問題があった場合も含め、設備の保証やアフターメンテナンスに関しても前もって確認しておくことをおすすめします。

 

現地調査を必ずしているか

 

施工会社を選ぶ上で、重要な判断基準となるのが物件の現地調査をしっかり行ってくれているかどうかです。業者が現地調査をせずに見積もりを作成し工事が進んだ場合、途中で想定していない工事が必要になり、追加の見積もりが発生する可能性が高いです。

結果、費用が割高になるだけでなく、当初よりも工期が伸びてしまい、オープン日までに内装工事が間に合わなくなってしまいます

内装工事が始まると、同時に物件の賃料も発生しているので、工期が伸びることによって余計に物件コストがかかることにもつながります。このようなトラブルを避けるためにも、必ず物件現地を確認してくれる施工会社を選びましょう。

 

図面を元に見積もりをしているか

もう一つ、重要な基準となるのが図面を元に見積もりをしているかどうかです。施工会社の中には、図面を作成しない、もしくは図面とリンクしていない見積もりを作る会社もあります。

その場合、見積書の内容を見てもその工事の金額がどの箇所に対して発生しているのか、どれくらいの面積があってどれくらいの単価で工事金額が設定されているのかがわからない状態になります。

相見積もりをする上でも比較検討が難しくなってしまう要因になりますので、必ず見積もりと図面はセットで取得した状態で業者選びをすることをおすすめします。

 

対応・レスが遅くないか

基本的な要素ですが、対応やレスポンスが遅い施工会社は要注意です。店舗開業において、資金調達や物件取得もスケジュールに絡んでくるため、施工会社からの連絡が遅いと他の進行にも影響してきます。

内装工事の見積もりがなかなか送られて来ず、不動産のオーナーへの提出が遅れたために物件を他の人に取られてしまった、という話も少なくありません。

工事が始まってからも、レスポンスが遅いと自分が望まない施工をされてしまったり、是正箇所の対応が遅くなってしまいオープンまでの期間が伸びる可能性があります。問い合わせの段階で対応の速度感はチェックしておきましょう。

 

店舗内装工事コストダウンのポイント

 

相見積もりをとる

内装工事のコストを抑える方法として最も有力なのが、相見積もりを取ることです。相見積もりとは、複数の業者から見積もりをもらい、金額や内容を元に比較検討することです。業者によって工事の単価が変わってくるので、最終的な施工金額の差も生まれてきます。

ここでポイントなのが、それぞれ同じ条件・要望を伝えた上で相見積もりを取ることと。手元に来た見積もりの内容が、全く違う店舗プランで全く違う素材を使った工事だと、見積もりの比較はかなり難しくなります。必ずこちらの要望を共通して伝えた上で、金額の比較ができるように見積もりを取りましょう。

もう一つの方法は、それぞれの会社から提案ベースで見積もりをもらうことです。これは手元に物件の図面がない時におすすめの方法で、各会社に現地調査に来てもらい、店舗のプランニングからデザインの提案も含めた見積もりをもらいます。

空間やデザインにこだわった店舗にしたい場合は、こちらの方法も試してみてください。

 

DIYも検討する

内装費のコストカットの方法として、DIYもあります。わざわざ施工会社に依頼しなくても、自分でできる日曜大工規模のものは自身で仕上げてみる方法もあります。オープンまでのスケジュールに余裕がある方はぜひ検討してみてください。

ただ、やはり専門の職人よりは仕上がりのクオリティが落ちてしまう点と、壁や床の施工は想像しているよりも時間がかかってしまうため、本来の店舗経営の準備の時間を圧迫してしまう可能性があります。気になる方は、施工会社にDIYでもできそうな部分がないか、一度相談してみましょう。

 

居抜き物件を選ぶ

居抜き物件を選択することで、最終的な施工金額を抑えることができます。例えば飲食店の居抜き物件を取得することができれば、カウンターや厨房機器をそのまま使うことができ、本来かかる費用を節約することができます。壁や床も綺麗な物件であれば、その部分を既存のまま使うこともできます。

注意しなければいけないのが、同じ居抜き物件でも自分のやりたい業態と違う業態が入っていた物件を借りてしまうことです。例えば、サロンを開きたいのに元々飲食店だった居抜きを借りてしまうと、使わない水回りの機器を処分するのに費用がかかったりする可能性があります。

このように、場合によってはスケルトンの方が費用を抑えられるケースが存在しますので、物件で悩んだら一度施工会社に相談することをおすすめします。

 

施工管理が上手な業者に依頼する

 

内装工事費用を抑えるポイントは他にもあります。施工の管理者のクオリティによっても、施工金額は上下します。

例えば施工管理がうまく行っていないと、同じ工程の作業をやり直したり、仕上がりの段階で修正箇所が多く出てしまい、結果工事期間が伸びてしまいます。工事費用は職人の施工費用も含まれるため、施工の回数が増えていくのに比例して費用も高くなっていきます。

ポイントは、契約前の打ち合わせの段階で、明確に工期を設定してくれる施工会社を選ぶことです。実績が豊富な会社ほど、打ち合わせの段階で着工から完工までをイメージすることができるので、すぐに工事期間を設定することができます。

 

業者と一緒に現地調査に行く

物件を見にいくときに、施工会社の人と一緒に確認にいくのもコストを削減するポイントです。特に設備関係は、素人だけで見ても判断がつきにくいです。

施工会社の人と一緒に確認することで、自分がやりたい店舗に条件が合っているか、合わせるよう施工するとしたらどれくらいの費用がかかるのかを明確にすることができます。

逆に、確認が不十分なまま物件を契約してしまうと、実は配管を遠くまで回さなければいけなかったり、大幅な床上げ工事が必要だったりと、想定していなかった工事の費用が発生する可能性が高く、結果費用が割高になります。

 

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内装工事の範囲について

店舗の内装業者が行なう仕事の範囲

 

設備工事

店舗内装工事、と聞いてどんな工事があるのか各項目を答えられる方は多くないと思われます。内装なので室内の空間の変更が工事の内容であることは想像できるかと思います。ですが住宅ではなく店舗になるので、インテリアの部分に加えて設備工事も担当することになります。

設備工事とは、ガス・水道、電気、空調、吸排気のことです。店舗が営業する上で常に使うこの設備の工事が内装業者の担当になります。例えば、設置したエアコンが実際の店舗の規模まで対応していなかったり、厨房機器周りの機能が不十分だと店舗の営業を左右します

候補物件が見つかったら、あらかじめ内装業者に相談して実際の現場調査をしてもらいましょう。

 

設備工事で注意する点

店舗の見た目やデザインが良くても、営業していく上でトラブルが起きてしまっては元も子もありません。電気容量が足りない、火力が弱すぎる、ダクトが煙を十分に吸わないなど。これらのトラブルを避けるために、設備工事の費用を削ることはおすすめではありません

コストカットをしたいのであれば、設備がそのまま使える居抜き物件を探すのがベストです。

 

看板や入り口も含まれる

 

店舗の入り口や看板部分のことをファサードと呼びます。路面店であれば、外から店舗がどのように見られるのかが重要になります。また路面店以外でも、ビル内や空中階から看板を出すので、こういったデザインも重要になります。

デザインや設計を一括で担当している施工業者の中には、看板やサインのデザインもしてくれる会社があります。もし自分で作るのが苦手だったり、近くに頼れる知り合いがいないのであれば、前もって相談しておくことをおすすめします。

 

デザインも含まれる

内装工事の中にはもちろん店舗のデザインも含まれます。ですが、施工会社がデザインや設計を担当してくれる場合と、デザインや設計は別の会社に頼まなければいけない場合があります。

デザインの要望は、言葉で伝えるのが難しければSNSで調べた写真を見せたり、問い合わせた会社の施工事例の中からイメージが近しいものを選んで依頼しましょう。

 

各種工事は内装業者による

店舗内装でお願いできる工事の範囲は幅広く、解体工事や造作工事、サイン工事、店舗で使う什器関係の工事まで含まれます。この範囲は内装業者によって分かれてくる部分です。解体工事は、例えば居抜き物件を借りたときに、いらない設備や壁を壊したりする工事のことです。

造作工事は、カウンターや棚を一から作ったりする工事になります。サイン工事は店舗のファサード部分などに設置する看板の工事のことで、什器関係はレジカウンターや陳列用のスチール棚をはじめとする什器の工事のことを指します。

こういった工事も、内装業者によって対応範囲が異なりますので、問い合わせした際に確認してみましょう。

 

店舗の内装工事の範囲とよくある疑問

 

工事できない業種はある?

内装工事ができない職種は基本的にはありません。ただ、キャバクラなどの風営法に関する申請が必要な業態の場合は、申請の兼ね合いで通常よりも工期が長くなる場合があるので注意が必要です。

また、内装業者の中には飲食店専門、サロン・クリニック専門など、業態を絞って受けている会社も存在します。自分のやりたい業態の専門業がいれば、問い合わせてみるのも一つの選択肢と言えます。

 

どれくらいの規模まで工事できる?

内装業者は一般的に、工事規模の制限はありません。会社の方針で一定の規模以上や以下の案件は受けれられない場合はありますが、通常はどんな大きさの物件でも工事は可能です。

小規模の工事を得意とした内装業者もいれば、大規模な工事を得意とする内装業者もいるので、その会社の施工事例を確認して、どんな工事をしているかをチェックしてみましょう。

 

店舗のリフォームもできる?

店舗内装工事は、店舗一部分だけのリフォーム工事ももちろん可能です。

居抜き物件の階層から、スケルトン物件の新装工事まで、基本的に幅広く対応可能です。フロアが歪んでいたり、壁の凹みがひどい物件でも、補修工事をして下地を整えたり上から組み直すことができるので、古い物件でも対応可能なのが内装工事です。

 

内装工事だけ発注できる?

 

すでにデザインのプランだけあって、内装の施工のみでも依頼は可能です。ただ、デザインや設計と内装施工の会社を分けてしまうと、仕上がりのイメージが違うなどのトラブルも多いため、できれば一括で同じ業者に任せる方がおすすめです。

 

内装だけでなく建築部分からお願いできる?

内装業者の中には、内装だけでなく建築部分から工事可能な会社もあります。このタイプは工務店が多く、注文住宅やアパートなどの集合住宅も携わっている場合が多いです。

建築部分から施工可能だと、古民家を一棟使ってリノベーションをして飲食店を開いたり、店舗併用住宅として自分のお店を構えることができます。選んだ候補物件によっては建築部分の設計や施工が必要な場合があるので、施工会社に確認してみましょう。

 

インテリアの提案は?

インテリアのアドバイスは、内装業者が最も得意とするところです。店舗のデザインに合わせて、家具や備品のアドバイスもしてくれます。手持ちのソファなどをイメージに合わせて張り替えることも可能です。

 

集客のアドバイスは?

内装業者の中には、店舗開業のコンサルティングを行っている会社もあります。今まで店舗の内装工事の依頼を受けてきて、多くの店舗を作ってきたノウハウを元に、空間作りから繋がる店舗集客の知識が蓄積されています。

例えば、自分の店舗に呼びたいターゲットを伝えて、客層に合ったファサードデザインをしてもらったり、あえて外装よりも内装に費用をかけてサプライズ空間にすることで、リピーターを増やしたりすることができます。

またデザインによって、自分のお店が何をウリにしているかを目立たせることもできます。お店の名前を選んで来店するお客さんは少ないため、遠くから見て、あそこは何屋だと分かることが重要です。入りやすいお店にするためには、いろいろな方策があります。

内装業者は打ち合わせの際に、オーナーやスタッフの人柄、お店作りの方向性や雰囲気を感じながら空間をデザインするので、集客に関する相談もしてみることをおすすめします。

 

ネットや電話の回線は用意してくれる?

ネットや電話の回線は、申請してから開通するまで意外と時間がかかります。内装業者によっては、つながりのある会社を持っていることもあるので、打ち合わせの時に話ておくとスムーズに申請を進めてくれます。

 

内装工事のA工事・B工事・C工事の違い

 

A工事

A工事とは、建物の所有者が費用を負担し、指定された業者によって行われる工事のことを指します。具体的には、ビル内のエレベーターや廊下、トイレといった共用部分の工事が該当します。また、用途に合わせた標準的な設備工事もA工事に含まれます。

 

B工事

B工事は、テナントがオーナーに対して工事の希望を伝え、オーナーが指定した業者で施工する工事を指します。A工事と似ていますが、A工事がオーナー主体で行われるのに対し、B工事はテナントからの要望をオーナーが承認する形で進められます。

費用はA工事・B工事いずれの場合もテナント側が負担しますが、オーナーの承認があるかどうかが両者の違いです。つまり、オーナーからの要望に基づく場合はA工事、テナントからの要望によるものがB工事と区別されます。

 

C工事

C工事とは、オーナーの承認が必要ですが、テナントが業者を選定して行う工事を指します。内装工事や照明器具の設置、電話・インターネットの配線工事などがC工事に分類され、テナントが自由に計画できるため、理想に沿った仕上がりを追求できます。

B工事と異なり、C工事ではテナント側で業者を決めるため、設計の自由度が非常に高い点が特徴です。ただし、工事区分は明確に定義されているわけではなく、物件ごとに違いがある場合もあるため、着工前にオーナーと確認しておくことが重要です。

A工事・B工事・C工事は似ているようで異なる面が多く、特に店舗の内装については専門的な知識が求められるため、信頼できる内装業者に相談するのが賢明です。

 

店舗内装の相場について

内装工事の費用相場は物件の状態によって異なる

 

居抜き物件の内装工事費用:坪単価15〜50万円

居抜き物件の内装工事費用の相場は、1坪あたり約15〜50万円とされています。居抜き物件は前の店舗やオフィスの内装・設備がそのまま残っているため、それらを活用すれば工事や設備購入のコストを抑えられ、スケルトン物件よりも費用負担が軽くなる利点があります。

しかし、既存の内装を利用するため、デザインの自由度は限定される点に注意が必要です。デザインを大幅に変更しようとすると、解体工事が発生して費用が高くなる可能性があるため、計画を立てる際には慎重に検討しましょう。

 

スケルトン物件の内装工事費用:坪単価30〜80万円

スケルトン物件の内装工事費用の相場は、1坪あたり30〜80万円ほどとされています。スケルトン物件は、内装や設備がない状態からスタートするため、すべてを新たに準備する必要があり、大規模な工事が求められる場合も多く、結果的に居抜き物件よりも工事費用が高くなる傾向があります。

その反面、デザインの自由度が高いのが特徴です。内装や備品にこだわり、独自の世界観を表現したい場合には、スケルトン物件が適しているでしょう。

 

業種別の内装工事の費用相場・坪単価

 

カフェ・飲食店の内装工事費用:坪単価30〜80万円

カフェ・飲食店の内装工事費用の目安は、1坪あたり30〜80万円ほどです。居抜き物件を利用する場合は30〜60万円程度、スケルトン物件では50〜80万円程度が目安となります。

飲食店といっても、カフェや居酒屋、焼肉店などの業態により必要な設備が異なるため、費用も変動します。例えば、カフェやバーは大規模な厨房設備を必要としないケースが多く、居酒屋やレストランに比べて内装工事費用を抑えやすい傾向にあります。

一方で、個室の設置や、焼肉店のように各テーブルにコンロや換気設備を取り付ける場合、工事の規模が増すため、坪単価が80万円を超えることもあります。

 

エステ・美容院の内装工事費用:坪単価20〜70万円

エステや美容院の内装工事費用の目安は、1坪あたり20〜70万円程度です。居抜き物件を利用する場合は20〜50万円ほど、スケルトン物件では40〜70万円ほどが一般的な相場です。

エステや美容院では、コンセントの増設、水道配管の設置、個室の仕切りなどが必要になるため、他の業態に比べて内装工事費用が高くなる傾向があります。ただし、シャワー設備が不要なシンプルなハンドマッサージサロンなどであれば、設備工事が減るため、費用を抑えられるでしょう。

 

アパレル・雑貨店の内装工事費用:坪単価20〜40万円

アパレル・雑貨店の内装工事費用の目安は、1坪あたり20〜40万円程度です。居抜き物件であれば20〜30万円ほど、スケルトン物件では30〜40万円ほどが一般的な相場です。

アパレル・雑貨店の場合、飲食店のような厨房設備や、美容院のように多くのコンセントやシャワー設備が不要なため、内装工事費用は比較的抑えられます。

ただし、内装費用の大きな差はデザインのこだわり具合によって生じることが多いです。アパレル・雑貨店では「おしゃれさ」や「センスの良さ」が重要な要素であるため、第一印象を重視して内装デザインに力を入れると、費用が高くなる傾向があります。

 

オフィスの内装工事費用:坪単価10〜40万円

オフィスの内装工事費用の目安は、1坪あたり10〜40万円程度です。居抜き物件を利用する場合は10〜30万円ほど、スケルトン物件では20〜40万円ほどが相場です。

オフィス内装には店舗のような特殊な設備は必要なく、空調や消防設備が整っていれば、居抜き物件をそのまま利用できることもあります。ただし、社長室や会議室、応接室などの個室をどの程度設置するかや、オフィスデザインにどれだけこだわるかによって、工事費用は変動します。

 

内装工事で把握しておきたい8つの費用項目

 

内装工事にはさまざまな費用が発生します。特に重要な下記の8項目の概要を把握したうえで、見積もりが適正かどうか確認しましょう。

・デザイン・設計費

店舗のデザインや設計にかかる費用

・仮設工事費

足場や養生シートの設置といった、トラブルなく工事を行うための作業にかかる費用

・解体工事費

壁や天井の解体、不要な設備の撤去にかかる費用(居抜き物件をそのまま使う場合はかからない)

・廃棄物処理費

解体した壁や天井、工事中にでた廃棄物を処理する費用

・造作工事費

壁や天井の設置にかかる費用

・設備工事費

厨房や水回りの設備を設置する費用(配管工事を含む場合もある)

・電気・ガス・水道工事費

電気・ガス・水道の配管やコンセントの増設などにかかる費用

・空調工事費

空調の導入にかかる費用

見積もりに記載されていない工事は行われません。上記とは異なる項目を利用している場合であっても、必要な工事が記載されていないと感じたらすぐに業者に確認してください。

 

内装工事の費用を抑える3つの方法

 

居抜き物件で開業する

居抜き物件を利用すれば、内装工事費用を抑えることができます。事前に内装や設備が整っており、必要な工事が少なくて済むからです。

ただし、同じ業種でもジャンルが異なると居抜き物件が適さない場合があります。例えば、焼肉店の後にカフェを開店する場合、内装や設備が異なるため、結局改装費用がかかります。

まず立地や家賃などの条件を決め、少ない改装で済む居抜き物件を探すことが重要です。

 

中古設備を利用する

中古設備を活用することも内装費用を抑える方法の一つです。店舗の設備は高額になることが多いため、中古品を購入すれば新品よりも安く手に入れることができます。ただし、保証内容を確認し、購入前にチェックすることを忘れないでください。

 

相見積もりを請求する

相見積もりを依頼することで、内装工事費用を削減できる可能性があります。相見積もりとは、同じ工事内容に対して複数の業者に見積もりを依頼し、比較することです。3社以上から見積もりをもらい、適正価格内で最も安い業者を選んで発注しましょう。

 

内装工事の予算は見積もり請求前に決めておく

 

内装工事にかける予算は、見積もりを依頼する前に決めておきましょう。予算を決めずに見積もりを依頼すると、予想より高額になった場合、再度見積もりを取り直す手間がかかり、双方の時間を浪費する可能性があります。

また、そのまま想定以上の費用で進めてしまうと、予算不足で開業が難しくなるリスクもあります。

まず内装工事の予算を明確にし、その上で見積もりを依頼してください。業者には、実際の予算から20%程度減らした金額を提示するとよいでしょう。こうすることで、追加工事や設備の購入が必要になった場合にも、予算内で対応できる余裕を持たせられます。

 

資金調達について

開業する際の融資金額の目安は?

 

自分の予算が限られていても、融資を受けることで開業資金を確保することができます。ただし、開業に必要な予算を削りすぎると、営業を軌道に乗せるのが難しくなる場合があります。一方で、融資に依存しすぎると、返済負担が経営を圧迫する可能性もあります。

無理のない範囲で開業資金を確保するために、必要な融資金額の目安を把握し、融資制度を上手に利用しましょう。

 

開業資金に利用できる融資先

店舗物件の確保から内装工事、厨房機器や備品の準備まで、開業には数百万円から1000万円以上かかることが一般的です。さらに、営業を軌道に乗せるまでの数か月間の運転資金も必要です。

この資金をすべて貯金で賄える方は少なく、多くの方が不足分を融資で補います。主な融資先には、本政策金融公庫と各地方自治体があり、これらは審査が通りやすく低金利という利点から一般的に選ばれています。

銀行や民間金融機関からの融資も可能ですが、融資制度を活用する方が条件が良い場合が多いです。

 

融資を受けるには信頼性が重要

融資を受けるには、まず希望する金額を明確に提示する必要があります。店舗物件の確保費用、賃貸料、準備費、運転資金など開業に必要なすべての経費を融資先に伝え、必要な総額と融資を希望する金額を具体的に説明しましょう。

審査が通りやすく低金利であっても、返済能力が不透明な相手には融資は難しくなります。そのため、自分が支払える範囲や実際にかかる費用を十分に把握し、適切な融資金額を設定することが大切です。

また、金額をただ低くするのではなく、信頼性の高い事業計画を用意し、妥当で現実的な融資金額を示すことが、融資を受けやすくするポイントです。

 

開業資金における融資の割合

開業資金を自分の予算と融資で賄う場合、一般的には開業資金運営資金の約50%ずつを融資でカバーするのが目安です。融資割合を増やせば当面の自己負担は減りますが、返済額が増えるため、軌道に乗るまでに予想外のトラブルがあれば返済が難しくなるリスクもあります。

たとえば、開業に1,000万円が必要なら、500万円を融資で賄い、軌道に乗るまでに4か月かかると見積もった場合、2か月分の運営資金を融資でカバーする、といった具合に計算してみましょう。この方法で無理のない範囲の融資額を決めることができます。

 

公庫から融資を受ける場合

 

公的金融機関から融資を受ける際には、自己資金の有無とその出所が確認されます。具体的には次の2点を明確にする必要があります。

  1. 自己資金の金額
  2. その資金をどう調達したか

基本的に、自己資金は銀行口座に入金されていることが求められますが、場合によっては見せ金でも認められることがあります。たとえば、親からの借入れやスポンサーからの提供でも構わないので、金額と調達方法を明示しましょう。

自己資金のある場合、融資額の目安は自己資金と同額程度と考えると良いでしょう。日本政策金融公庫では、自己資金と同額までの融資制度があり、たとえば500万円の自己資金があれば500万円の融資が可能で、合計1,000万円の資金が確保できます。

さらに、日本政策金融公庫では、開業する業種での経験がある場合に、最大500万円の融資が受けられる制度もあります。飲食店での勤務経験がある人は、その経験が担保となり、飲食店開業のための資金を500万円まで融資してもらえる仕組みです。

 

公庫は審査が通りやすく金利も低い

日本政策金融公庫からの融資は「公庫融資」と呼ばれ、数多くのメリットがあるため希望する人も多いです。民間の銀行などで融資を受けるのが難しい場合でも、公庫融資であれば通りやすいケースも多く見られます。

日本政策金融公庫は中小企業や個人事業主への融資を目的に設立されており、特にこれから開業を考える人にとって心強い支援先です。また、公庫融資は金利が低いことも大きな魅力です。

自己資金だけで開業する場合や、金利が高い金融機関から借り入れる場合と比べ、公庫融資を利用する方が開業時の負担が軽減され、より安定したスタートを切ることができます。

 

公庫融資はどんなメリットがある?

公庫融資が店舗開業に適している理由は、資金調達のしやすさだけでなく、以下のメリットがあるからです。

・低金利

公庫融資は金利が低く、返済負担が少なくて済みます。

・長期返済

借入期間が長く、無理のない長期の返済計画を組むことができます。

・無担保無保証

保証人や担保が不要で、家族や友人に負担をかけずに資金調達が可能です。

さらに、事務手続きなどを専門家がサポートしてくれる場合もあるので、必要に応じて検討してみると良いでしょう。

 

公庫の中小企業経営力強化資金

 

​​公庫融資の「中小企業経営力強化資金」は、その名の通り中小企業をサポートする制度で、新創業融資制度と比べても金利が低く、特に開業を目指す方に有利な点が多くあります。

この制度の大きなメリットは、開業準備で多忙な経営者に配慮し、金融機関に足を運ばずに融資が受けられる点です。認定経営革新等支援機関の専門家が申請手続きを代行してくれるため、本人が金融機関に出向く必要がありません。つまり、信頼できる専門家が代理で手続きを進めてくれるということです。

さらに、融資面談にも専門家を同席させることが可能で、専門家がサポートすることで面談もスムーズに進められます。このように、必要なサポートが得られる非常に心強い制度です。

 

公庫の審査に通らない人も多い?

公庫融資は審査が通りやすいと言われていますが、実際には審査を通らない人も多くいます。その差を決定づけるのは、事前の準備がどれだけしっかりできているかです。

「知人から勧められた」「とりあえず訪ねてみた」などといった動機だけでは融資は通りません。開業を目指す以上、具体的な事業計画書を準備し、熱意を示すことが大切です。口頭だけでなく、書類に基づいて詳細な説明を行うことで、金融機関の信頼を得やすくなります。

公庫融資は国民の税金がもとになっているため、熱意や計画が不十分な人に簡単に貸し出されるものではありません。また、無担保・無保証で借りられるというメリットもありますが、それに応える準備が不可欠です。綿密な事業計画と返済計画を用意し、確実に融資が受けられるように臨みましょう。

 

公庫融資と銀行融資はどちらが良い?

融資を受ける際、最初に考えるのは多くの方が銀行からの融資かもしれません。しかし、銀行からの融資は、独立開業したばかりの方やこれから開業する方にとっては非常に厳しい場合が多いです。過去の経歴や勤務経験が影響することもありますが、融資を受けられる可能性はかなり低くなります

一方で、公庫融資は設立の目的が中小企業や個人事業主の支援にあります。そのため、独立開業したばかりの方やこれから開業を目指す方にとって、融資を受けやすい選択肢となります。公庫融資は、融資対象となる事業計画がしっかりしていれば、銀行融資よりも受けやすいというメリットがあります。

 

銀行から融資を受ける場合

 

もちろん、銀行からの融資も選択肢の一つです。特に日本政策金融公庫で貸し渋りが見られる場合、銀行での融資を検討するケースが増えます。銀行の場合、自己資金も重要ですが、特に重視されるのは事業計画です。

事業計画では、立地条件や見込み客数、想定客単価などをもとに実現可能な売上目標を設定し、その売上目標の7~8割で設備投資、原価、家賃、人件費といった経費を支払い、さらに返済計画が成立することを示す必要があります。

特に重要なのは、売上目標が年々アップしていく見込みで、なおかつその売上目標の7~8割で経費や返済が回る計画を立てることです。これが銀行の融資判断における重要な基準となります。

 

地方銀行や信用金庫の制度融資

地方銀行や信用金庫が提供する「保証協会付制度融資」は、多くの業界で利用されている制度ですが、利用する際には注意点もあります。

最大の落とし穴は、融資までのスピードが遅いことです。開業時にこの制度を利用する場合、必要な書類の準備に時間がかかり、審査結果が出るまでに2か月以上かかることもあります。このため、資金繰りに余裕を持って開業準備を進めることが重要です。

地方銀行や信用金庫での融資を考えている場合は、この審査にかかる期間をしっかりと把握し、スケジュールに余裕を持って計画を立てることが大切です。

 

銀行融資を受ける際のポイント

銀行から融資を受ける際に重視されるのは、主に2つの項目です。1つ目は、自己資金の額と融資がどれくらい必要かという点です。しかし、最も重要なのは2つ目で、事業計画書の内容です。

事業計画書には、立地条件、見込まれるお客様の数、メニューや想定客単価などを具体的に記載する必要があります。単に「おおよその売上予想に基づいて500万円を融資してほしい」という曖昧な内容では、銀行は融資を検討しません。

銀行に信頼してもらうためには、実現可能な売上目標を設定し、その売上目標の7~8割の売上で返済が成り立つ収支計画を示すことが大切です。具体的な数字としっかりとした経費や収支の計算を行うことで、銀行は融資を前向きに検討してくれるでしょう。

 

自己資金はなるべく多く用意する

 

店舗の開業において、自己資金をどれだけ用意できるかは非常に重要な要素です。自己資金には、自己の貯金はもちろん、親戚や友人からの援助資金も含まれます。

自己資金が多いほど、銀行から借りる必要のある金額が減り、その分返済額も少なくなります。返済額が少なければ、完済の見込みが高まり、経営にも余裕が生まれます。また、多くの自己資金を用意することは、銀行にとって信用度が高いと評価され、融資を受けやすくなります。

このように、自己資金が多ければ多いほど、銀行からの融資がスムーズに下りやすくなるため、開業資金を確保する際にはできるだけ自己資金を充実させておくことが望ましいです。

 

充実した事業計画書を添える

銀行から融資を受ける際には、単に申込用紙に記入するだけでは、融資が下りる可能性は非常に低いです。重要なのは、しっかりとした事業計画書を作成し、返済計画まで明確に記載して提出することです。

相手に「提出してください」と言われる前に、自分から積極的に事業計画書を提出することで、印象が大きく異なります。

事業計画書には、単に数字や売上予想を記載するだけでなく、経営者としての理念や自己紹介を含めることも大切です。また、開業予定の店舗のコンセプトや方針、さらに具体的に考えているメニューや金額、その店舗に対する熱意やビジョンを伝えることが重要です。

このように、具体的で情熱的な内容を盛り込むことで、銀行側はより信頼を持ちやすくなり、融資を受ける可能性が高まります。

 

自分の経験をしっかりと伝える

店舗を開業する際、経験年数は非常に重要な要素です。特にベテランであれば、その経験が信用につながります。実績や経験は自己資金と同じくらい大切な要素であり、特に美容師などの技術職においては、その技術力が信頼に直結します。

さらに、どのような経験を積んできたかも重要です。接客や技術だけでなく、今後は経営者としての能力も求められます。

経営に関する経験、例えば金銭管理やスケジュール管理などは、経営者として非常に有利に働きます。独立を目指す前に、こうした経営に役立つ経験を少しでも積んでおくことで、銀行などの融資審査でプラス評価を得やすくなります。

 

個人信用情報をクリーンにする

店舗を開業する際、個人信用情報は非常に重要な要素となります。経営者としての信頼性を示すため、以下の条件がクリアされている必要があります

・過去5年以内に債務整理を行っていない

・2年以内に消費者金融からの借入がない

・公共料金や税金、年金の支払いに滞納がない

金融機関は、融資を決定する際に、金銭的な信用問題を非常にシビアに見ます。返済能力やお金に対する責任感が不足していると、融資の審査は通りません。

お金に対する責任感は経営者として大切な要素であり、借入を検討する前に自分の信用情報を確認し、問題がある場合はまず解消することが重要です。万が一、上記に該当する項目があれば、融資の申し込みを急がず、少し時間を置いてから再度申し込むようにしましょう。

 

店舗開業のエリアについて

立地検討で重要な「商圏」は大きく3つに分類される

 

一次商圏

一次商圏とは、ターゲット客層が居住するエリアから徒歩15分圏内に位置する商圏のことを指します。この範囲内では、顧客が日常的に歩いて来店できるため、最寄品商圏とも呼ばれます。一般的に、駅前や商店街、繁華街など、人口が多く、賑やかなエリアに位置することが多いです。

ターゲット層のニーズをしっかりと満たす店舗の立地選定は、開業の成功に大きく影響します。

 

二次商圏

二次商圏とは、ターゲット客層が車で15分程度の距離にあるエリアを指します。この範囲では、顧客が週に数回訪れることを想定しています。中間品商圏とも呼ばれ、主に中価格帯の商品やサービスを提供する店舗が多く存在します。

二次商圏においては、週に数回の訪問を想定し、ターゲット層のライフスタイルに合わせた店舗運営が求められます。また、立地選びにおいては、交通の便や競合状況を慎重に考慮することが成功への鍵となります。

 

三次商圏

三次商圏は、ターゲット客層が車で40分程度の距離にあるエリアを指します。ここでは、来店頻度が月に数回程度であり、毎日や週に数回訪れる必要がない店舗に適しています。

通常、この範囲で店舗を開設する場合、取り扱う商品やサービスは、特別な需要や高価格帯の商品、または大規模なショッピングセンターなどに関連したものが多くなります。

この商圏では、ターゲット層が定期的に訪れることを期待せず、特別な商品やサービスを提供することで長期的な集客を狙う店舗に適しています。

 

商圏ごとに適した業種

 

一次商圏に適した業種

一次商圏とは、駅前や商店街、繁華街など、ターゲット客層が毎日気軽に通える距離にあるエリアを指します。このエリアでは、利用頻度が高い業種が特に適しています。

例えば、コンビニエンスストアやファーストフード店、スーパーなどは、いずれも毎日利用できる便利な店舗として、立地の重要性が高い業態です。これらの業種は、価格が安く、手軽に利用できることが大きな特徴です。

コンビニは、日々の買い物や急な用事に便利で、24時間営業していることが一般的です。ファーストフード店は、忙しい日常の中で食事を手早く済ませたい人々にとって、重要な選択肢となります。

また、スーパーは食料品や生活必需品を購入するため、価格競争力が求められ、品揃えやアクセスの良さが重要な要素です。

カフェや軽食店も、休憩や軽い食事を楽しむ場所として、特に通勤・通学客が多いエリアで需要があります。ドラッグストアも日用品や薬、化粧品などを手軽に購入できるため、同様に便利な立地が求められます。

一次商圏における店舗は、顧客が頻繁に訪れるため、リピーターを獲得しやすいメリットがあります。立地が重要で、アクセスが良い場所に位置することが、競争優位性を確立するための鍵となります。

 

二次商圏に適した業種

二次商圏は、ターゲット客層が週に何回か必要なものを買いに訪れることを想定したエリアです。このエリアでは、日用品や生活必需品を買い置きするために来店することが多く、頻繁に立ち寄るタイプの店舗が適しています。

ドラッグストアやホームセンター、家電量販店などが典型的な業種で、顧客は必要に応じて商品を購入しに来ることが想定されています。

ドラッグストアは、薬や化粧品、日用品などを取り扱い、近隣住民が頻繁に訪れる場所として利用されます。ホームセンターも、生活に必要な道具や家具、ガーデニング用品などを取り揃えており、定期的に訪れる顧客に向けた業態です。

家電量販店も、家電製品や家電アクセサリーを取り扱っており、一定の買い替えサイクルに合わせて顧客が訪れることが予想されます。

これらの業種は、消耗品や生活必需品を取り扱うため、リピーターが多く、一定の来店頻度が見込まれる特徴があります。二次商圏では、顧客の買い物の目的が比較的具体的であるため、商品の品揃えや価格、立地が特に重要な要素となります。

 

三次商圏に適した業種

​​三次商圏は、車で出かけても少し距離があり、頻繁に訪れることはないものの、特別な買い物をするために足を運ぶことが予想されるエリアです。このエリアには、服飾や雑貨、家具など、普段あまり頻繁に購入しない商品を扱う店舗が多く見られます。

例えば、郊外に位置する大型ショッピングモールなどがその例です。こうした場所では、訪れるのは主に週に数回や月に数回のペースで、商品の単価が比較的高めであることが特徴です。

三次商圏に適した業態としては、特別な買い物を目的とした店舗が多く、ファッションブランドの店舗や、高級家具店、雑貨店などがあります。こうした業態は、消費者が購入を検討する際に距離や手間を気にしないため、一定の来店頻度を前提として、ブランドや商品の魅力が強調されます。

また、三次商圏に位置する店舗は、車を使って訪れる客層をターゲットにしているため、駐車場の有無や、ショッピングモール全体の立地や施設の充実度も重要な要素となります。

 

商圏エリアの設定

 

店舗を中心にしたエリア把握

店舗の立地選定を行う際、まずは地図上で店舗を中心に一定の距離を設し、その範囲を商圏として特定します。この距離は、業種や業態によって異なり、例えば日常的に通うことが想定されるコンビニやカフェなどは短い距離、週に数回の利用を想定するドラッグストアやホームセンターでは少し広い範囲が商圏となります。

商圏の範囲を決定する際には、人口密度や交通の便、競合他店の位置など、さまざまな要素を考慮に入れる必要があります。

特に、交通量が多い道路の近くや駅周辺などはアクセスが良いため商圏を広げやすく、逆に川や山など自然の障害物によって分断されている場合、商圏は狭めざるを得ないこともあります。また、競合他店の位置も重要で、同業態の店舗が密集している場合は商圏が圧縮されることもあります。

これらの要因を踏まえ、円を拡大または縮小させることで、最適な商圏の範囲を特定し、ターゲットとなる客層がどのくらい店舗に足を運びやすいかを予測します。このプロセスによって、開業後の集客力や売上の見込みをより正確に立てることができます。

 

車を使った場合のエリア把握

店舗の立地を決定する際、車移動を前提にした商圏の特定方法は、非常に有効な手段です。特に車でのアクセスを重視する場合、車移動の時間を10分、15分、20分、30分など複数の時間帯でパターンを作成し、それぞれの商圏を分析すると良いでしょう。

例えば、車で10分の範囲における商圏では、比較的近隣のエリアを対象に、生活圏として毎日の利用を見込んだ業種が適しています。一方、車で30分の範囲では、広範囲に渡るエリアが対象となり、買い物の頻度が少ない業態や、特別な目的で訪れる大型店舗などに適した商圏となります。

さらに、路状況や交通量、渋滞の発生しやすさも重要な要素です。渋滞が多く発生するエリアでは、車での移動が予想以上に時間を要し、顧客の来店意欲を低下させる可能性があるため、その点を考慮する必要があります。

地図上で渋滞しやすい道路や、混雑しやすい時間帯を特定し、商圏内でのアクセスの利便性をしっかりと把握しておきましょう。

 

競合他店とのシェアを比較

 

競合他店が近くに存在する場合、まずその店舗の面積や立地、ターゲット客が訪れる時間帯や距離を分析し、自分の店舗と比較することが重要です。この時に有効なのが、ハフモデルという考え方です。

ハフモデルは、店舗の集客力を予測するために使われる理論で、特に競合との距離とその店舗の「魅力度」に注目します。

このモデルでは、売り場面積(店舗の魅力度)が大きいほど、多少距離が遠くても集客力が高くなるとされています。つまり、大型店舗や品揃えが豊富な店舗は、遠方からでも集客を見込める可能性があるということです。

 

点・面・線の3点から分析

店舗に適した立地を分析する方法として、「点・面・線」の3つの要素を用いることがあります。この方法では、店舗の位置や周辺環境、アクセス性を総合的に評価し、最適な立地を見つけ出すことができます。

点は、店舗の位置そのものを指します。ここでは、店舗がどれだけ目立ち、認識されやすいかが重要です。例えば、交通量の多い交差点の角にある、駅前に位置するなど、通行人や車両から見えやすく、足を運びやすい立地が理想です。また、店舗へのアクセスが容易で、入りやすさもポイントになります。

面は、その周辺地域を指します。このエリア内で、ターゲット層に合った住民や訪問客がどれくらい存在するかが重要です。

住民の数や、ターゲットとなる顧客層が集まるエリアかどうかを評価します。また、最寄り駅の利用者数や周辺施設の有無も大きな要素です。近隣に競合が多くても、流動人口が多ければ集客が期待できる場合もあります。

線は、店舗に訪れるまでのルートに関連する要素です。店舗へのアクセスを、徒歩や車での移動手段を踏まえて分析します。最寄り駅からの徒歩ルート、車での走行ルート、交通の流れなどを考慮して、顧客が気軽に立ち寄りやすい場所かどうかを見ます。

例えば、駐車場が整備されているか、徒歩圏内に他の商業施設があり動線が繋がっているか、なども評価基準となります。

この「点・面・線」の3つの要素を総合的に分析することで、店舗設立に最適な立地を見極めることができます。店舗がターゲット客層にアクセスしやすく、競争力を持つ場所にあることが、成功の鍵となります。

 

駅前やロードサイドなどエリアの特徴から考える

 

駅前

駅前は、通勤や通学で電車を利用する人々が集まる非常に活発なエリアです。このエリアの特徴は、日常的に駅を利用する人々にとって、駅周辺が生活の一部となっていることです。

そのため、駅前での買い物や食事が非常に便利であり、利用者は日々の移動の合間に気軽に立ち寄りやすい店舗を好む傾向にあります。

特に、ちょっとした買い物ができる店舗や、手軽に食事をとれる飲食店は駅前に最適です。これらの店舗は、利用者が忙しい時間帯に素早く利用できるため、回転率が高く、売上げも安定しやすいです。

たとえ商品の単価が低くても、集客数と回転率が良ければ安定した売上を保つことができ、経済的なリスクも減少します。

駅前という立地は、通勤や通学の途中に立ち寄れる便利さと、頻繁に訪れることで安定した売上を確保しやすい特性があるため、気軽に利用できる業態や低価格帯の商品を提供する店舗にとっては非常に強みとなるエリアです。

 

繁華街

 

繁華街は、駅から徒歩圏内でアクセスが良好なエリアであり、特に休日には多くの買い物客や食事を楽しむ人々で賑わいます。このような場所では、買い物や食事に訪れる客層をターゲットにした店舗が有利です。

例えば、流行を先取りしたアパレルショップや美容院、またはショッピングの合間に休憩できる飲食店などは集客を見込むことができます。

さらに、買い物中に気軽に立ち寄りたくなる雑貨店や、小型のドラッグストアなども繁華街においては非常に適しています。これらの店舗は、買い物客の「ついで買い」を促すことができるため、利益の拡大が期待できます。

また、繁華街は常に新しい業態の出店チャンスがある場所でもあります。まだそのエリアにない業種を出店することで、競争が少ない中で新たな需要を生み出すことができる可能性もあります。

 

オフィス街・学生街

オフィス街や学生街は、ターゲット層が非常に明確であるため、集客の戦略を立てやすいエリアです。

オフィス街では、ビジネスマンが日常的に訪れる場所ですので、ランチタイムに手軽に食べられる定食屋やカフェが非常に人気です。

また、仕事帰りに軽く一杯飲みたいと考える人々をターゲットにした居酒屋やバーも需要が高いです。さらに、接待や会食のために使える高級料亭や和食店も、特に企業が集まるエリアでは集客が見込めます。

一方、学生街では、学生のニーズに合わせた店舗が強みを発揮します。学生は単価が低くてもボリュームや満足感を重視するため、価格が安い飲食店(例えば、ラーメン店やファーストフード、カフェなど)に需要があります。

また、日用品や食品を取り扱うスーパーやコンビニも、学生たちにとって便利で必需品を手に入れる場所として非常に集客力があります。

 

ロードサイド

主要道路沿い、いわゆるロードサイドに店舗を構えることは、特に車を利用する客層をターゲットにしたビジネスには非常に有効です。例えば、大型の商品や豊富な品揃えを誇るホームセンターやディスカウントショップは、広い売り場面積を確保できるため、車で来る客にも便利です。

これらの店舗では、手で持てないような大きな商品や多量の商品を購入することが多いため、車でのアクセスが求められます。このような店舗は、特に家族層やDIY・家庭用品を大量に購入する顧客にとって便利な立地となります。

さらに、飲食店の中でも、ファミレスや大型のレストランチェーンは、家族連れが車で訪れるため、ロードサイドの立地が適しています。ファミレスは広い駐車場を完備していることが多く、長時間の滞在や大量の注文に対応できるため、家族やグループでの利用者を集客しやすいです。

 

業種別に立地条件を考える

 

カフェや定食屋などを開くなら

しっかりとした食事を気軽に提供する定食屋などの飲食店を開業する際には、まずターゲット客層を明確にすることが重要です。

例えば、地元住民や帰宅するビジネスマンをターゲットにする場合、駅から住宅街へと続く動線を把握し、その動線沿いに店舗を出店するのが効果的です。駅近くや住宅街の入り口付近に店舗を構えることで、通勤・通学客や地域住民の利用を促進できます。

また、学生やランチタイムに訪れるビジネスマンを狙う場合、学校やオフィス内に食堂がある場所では集客が伸びにくいことがあります。

これらの施設では、すでに昼食が提供されているため、外食のニーズが低くなりがちです。事前にリサーチして、競合店が少ないエリアや食堂のないオフィスビル周辺などをターゲットにすることが集客のカギとなります。

 

居酒屋を開くなら

居酒屋のターゲット層は非常に多様で、駅を利用する人々が立ち寄りやすい繁華街や仕事帰りのビジネスマンが集まるオフィス街などが適した立地です。しかし、居酒屋を開業する際に注意すべき重要なポイントは、客が帰宅する際の動線を考慮することです。

特に、酒を飲んだ客は、できるだけ駅に早くアクセスしたいと考えるため、帰り道に手間をかけたくない傾向があります。

そのため、繁華街やオフィス街などのエリアでも、駅に向かう動線上に店舗があることが重要です。駅に向かう途中に店舗が位置していれば、仕事帰りのビジネスマンや繁華街で遊んだ人々が、帰りがけに立ち寄りやすくなります。

逆に、駅から離れた場所にある居酒屋では、通り過ぎる際にわざわざ寄りたくないという心理が働くため、集客が難しくなる可能性があります。

 

小売店を開くなら

 

小売店を開業する際、業態によって適した立地条件が異なります。例えば、日常的に利用されるスーパーの場合、店舗がどこにあるのかが明確で、視界を遮るものがない立地が理想的です。

スーパーにとっては、視認性が高く、アクセスしやすい場所が重要です。また、スーパーでは入り口が広く取れる立地が有利で、広い入口は客を迎え入れるための重要な要素です。

一方、アパレルや雑貨などの小売店では、繁華街に路面店を出すのも良い選択肢ですが、より多くの集客を見込むためには、ファッションビルのテナントに入ることが効果的です。

同業の店が一つのフロアに集まっている場合、買い物客は商品を見て回る際に多くの選択肢を求めて訪れるため、集客力が向上します。特にファッションビルのように、客層が目的を持って訪れる場所では、より高い集客性が期待できるため、競合店と共に出店することが戦略として有効です。

 

美容院やネイルサロンを開くなら

美容院を開業する際の立地選定は、ターゲット層を明確にした上で行うことが重要です。例えば、流行を追い求める若者をターゲットにするなら、繁華街などの人通りが多いエリアが適しています。

ファッションに敏感な若者層を引き寄せるためには、賑やかな場所で目を引く店舗を作ることがポイントです。一方、地元密着型の美容院を目指すなら、商店街や住宅街の中で、常連客が訪れる場所を選ぶと良いでしょう。

また、オフィス街に出店すれば、仕事帰りのOLやビジネスマンをターゲットにでき、平日の午後や夕方に集客が見込めます。特に忙しい職業の方々が、仕事帰りに立ち寄りやすい立地は非常に効果的です。

美容院は、比較的小さなスペースでも営業が可能なため、ビルの2階以上や地下などの場所に出店することもよくあります。しかし、このような立地の場合、集客には工夫が必要です。

看板を目立つ位置に設置することや、階段やエレベーターの位置がわかりやすい場所に店舗を構えることが求められます。潜在的な顧客に気づいてもらうために、視認性の高いサインや案内を設けることが、集客に繋がります。

 

立地を決める時の注意点

 

外観にとらわれすぎない

居抜き物件を探す際には、確かに外観が重要に思えることがありますが、立地条件の方がより重要です。外観はリフォームや改装によってある程度調整が可能ですが、立地条件は物理的に変更することができません。

そのため、物件を選ぶ際には、外観にこだわりすぎず、まずはターゲット層を集めやすい場所かどうか、店舗が目立つ位置にあるか、通行人や車の流れに沿った立地かどうかを確認することが最優先です。

さらに、店舗へのアクセスのしやすさも大切なポイントです。どんなに魅力的な内装を施しても、客が店舗に訪れるための動線が不便であれば、集客には繋がりません。

駅やバス停からの距離、近隣の施設や交通量など、立地に関する条件を十分に検討し、ターゲット層が自然に足を運びたくなるような場所を選ぶことが成功の鍵となります。

 

動線とそれを分断する要素を洗い出す

店舗の集客力を高めるためには、客の生活圏内から店舗までの動線をしっかりと把握することが重要です。

特に、地域住民や駅の利用者が自宅に帰る途中で自然に立ち寄れる場所に店舗があると、高い集客が見込めます。このような立地は、通勤や通学の途中で立ち寄りやすいため、日常的な利用を促進することができます。

しかし、動線を分断する要素がある場合、集客力が大きく影響を受けることになります。例えば、大きな川や交通量の多い産業道路、広大な敷地を持つ施設などが、客の移動経路を妨げると、店舗へのアクセスが不便になり、商圏が狭まる可能性があります。

これにより、思った以上に集客が難しくなってしまうことがあります。

ロードサイドで出店する場合にも、注意が必要です。例えば、主要道路に中央分離帯があると、道路の片側車線しか通行する車両をターゲットにできないため、集客エリアが限定されてしまいます。

このような状況では、特に通行車両をターゲットにする業態では商圏を狭めてしまい、十分な集客が期待できないことがあります。

 

人気エリアにこだわりすぎない

繁華街は多くの人が集まるため、一見するとすぐに客足を集められる理想的な立地に思えます。しかし、繁華街の特性として、商業店舗が密集している反面、地元住民やオフィスが少ないことが多いため、日常的に利用する場所としては適していない場合もあります。

つまり、繁華街は一時的な来店者が多くても、長期的な安定した集客には限界がある可能性があります。

さらに、繁華街では競合店が非常に多いため、差別化を図るのが難しく、勝ち残るためには特別な戦略や独自の魅力が必要です。競争が激しく、他の店舗と同じようなサービスや商品を提供していては、埋もれてしまう可能性が高くなります。

これらの要因を考慮すると、繁華街での出店には慎重な検討が求められます。ターゲット層が明確であり、競争優位性を確保できる場合に限り、繁華街は有効な立地となるでしょう。

 

客からよく見える場所を選ぶ

 

店舗が客の動線からよく見えることは、集客の鍵となる重要な要素です。特に、歩行者や車を運転している途中でふと目にした店舗に立ち寄るためには、その店舗が視認性の高い場所にあることが求められます。目を引く場所にあることで、通りすがりの潜在的な客を取り込むチャンスが生まれます。

理想的には、店舗から50~80メートル程度離れた場所からでも店舗の存在がしっかりと視認できる立地が望ましいです。これにより、通行人やドライバーが自然に店舗を認識し、立ち寄りたいという気持ちを引き出すことが可能になります。

この視認性を確保するためには、周囲の障害物や視界を遮る要素が少ない場所を選ぶことが重要です。

 

入りやすい立地を意識する

店舗や駐車場の入口の幅は、顧客が店舗に足を運ぶ際の心理的なハードルに大きく影響します。広い入口があると、顧客は自然に入りやすく、店舗に立ち寄る抵抗感が減少します。そのため、入口を広く取ることができる立地は、集客において有利になります。

さらに、その入口が客の動線に面している場合、より一層効果的です。人々が普段通る道に店舗の入口があれば、意識的に立ち寄ろうという気持ちを引き出しやすくなります。

一方で、入り組んだ場所にあったり、入口が狭くてわかりにくかったりする店舗は、いくら商圏を抑えていても、訪れるための心理的なハードルが高くなり、集客が思うようにいかない可能性があります。入口が直感的にわかりやすく、通行する人々の流れに沿っている立地が、集客において有利に働きます。

 

条件に合う立地が見つからないときの対策

 

立地条件が最適でない場合でも、さまざまな方法で集客を図ることができます。予算や希望する場所に空きがないなどの理由で、不利な立地で開業せざるを得ない場合でも、打開策は存在します。

まず、SNSやWebを積極的に活用して宣伝活動を行うことが重要です。SNSは、店舗の存在を広めるために非常に有効なツールであり、特に経営者自身の個性や魅力を発信することで、地元以外のファン層を獲得することも可能です。

経営者のストーリーや店舗の雰囲気、サービスの特長を定期的に発信することで、リピーターや新規顧客を引き寄せることができます。

さらに、飲食業の場合、大手のグルメサイトやレビューサイトも活用しましょう。これらのサイトは、新しい店舗を探している人々の目に留まりやすく、立地に関係なく集客を期待できます。口コミや評価を集めることができれば、少しずつ認知度が高まり、集客に繋がります。

加えて、広告戦略を工夫することも一つの方法です。ユニークで目を引く広告やプロモーションを通じて、印象的な店舗作りを目指すことができます。

例えば、特定のキャンペーンやオープニングイベントなどを企画し、SNSや地元メディアを使って広報を行うことで、立地のハンデをカバーすることができます。

 

業種別の店舗内装のポイント

業種別に見る店舗内装のポイント

居酒屋はトレンドと設備がポイント

 

居酒屋の内装は、時代のトレンドに合わせて変更していくことが重要です。人気のある居酒屋では、和の伝統的な要素を取り入れる一方で、現代風の設備やデザインが多く見られます。

たとえば、竹や木材といった自然素材を使った内装は、落ち着いた雰囲気となりますが、手入れや清掃に手間がかかるというデメリットもあります。

また、掘りごたつ席を導入することで冬場には鍋料理が楽しめるようになり、季節感を演出できます。カウンター席を焼き場の視線に合わせて配置すれば、調理のライブ感も楽しめる工夫ができます。さらに、大人数対応の個室や小さめの半個室を組み合わせることで、多様な利用シーンに対応可能です。

これらの設備は、お客様のニーズに合わせて柔軟に変更できることが重要で、時代に合わせた新しい居酒屋体験を提供するために必要不可欠なポイントです。

 

会員制の飲食店は空間演出がポイント

 

会員制の飲食店は、一般の飲食店とは異なり、特別感やプライベートな空間が求められます。そのため、内装には非日常を感じさせる演出が重要となります。

例えば、照明は柔らかな光を使い、壁紙や家具の色は落ち着いたトーンで統一すると高級感が増します。また、席と席の間隔を広く取ることで、他のお客様との距離を保ち、プライバシーを確保できます。

さらに、インテリアにおいては、アートや装飾品を取り入れて空間全体に統一感を持たせると効果的です。内装デザインが統一されていると、リラックスできる雰囲気が生まれ、リピーターが増える要因にもつながります。

こうした空間演出にこだわることで、顧客に特別な体験を提供でき、会員制店舗としての高い価値を伝えることが可能になります。

 

カフェは居心地の良さがポイント

 

カフェは、多くのお客様が長時間滞在することを考慮し、居心地の良さを追求する内装が求められます。木材や自然素材を使った温かみのあるデザインや、クッション性の高いソファを配置することで、お客様がくつろげる空間をつくることができます。

また、カフェのスタイルにはさまざまな種類があり、例えば、都会的でおしゃれなデザインのカフェでは、白や黒を基調とし、洗練された印象を与えることで、若者やビジネスパーソンに人気です。隠れ家的なカフェでは、少し暗めの照明や半個室を作ることで、落ち着いた雰囲気を作り、一人で訪れるお客様にも最適な空間となります。

セルフサービスのカフェの場合は、お客様が自由に動きやすいレイアウトにすることで、ファミリー層や友人同士での利用にも適応できます。こうした工夫が、リピーターの獲得につながります。

 

アパレル店舗の内装が売り上げに与える影響

 

アパレル店舗の内装は、商品の魅力を最大限に引き出す役割を果たします。商品の色味や素材感を美しく見せるために、照明の配置や明るさの調整が重要です。例えば、自然光を多く取り入れると、商品の本来の色が引き立ち、顧客に鮮やかな印象を与えます。

また、商品陳列の工夫も重要で、季節ごとのテーマに合わせたディスプレイや、商品が手に取りやすい位置に並べることで、顧客が商品に興味を持ちやすくなります。

さらに、店内の動線をスムーズに設計することで、顧客が自然に回遊できるようになり、売上に好影響を与えます。SNS映えを意識したディスプレイや、ブランドイメージを統一した内装デザインも若い世代の集客に役立ちます。アパレル店舗の内装デザインは、顧客体験を高め、購買意欲を刺激するために重要な要素です。

 

店舗の内装はコンセプト設定が成功の鍵

 

コンセプトの重要性

店舗の内装デザインで最も大切な要素は、統一されたコンセプトです。明確なコンセプトがあると、内装全体が一貫性を持ち、顧客にとって記憶に残る店舗となります。

例えば、温かみのある雰囲気を大切にしたカフェなら、木材や落ち着いた色合いのインテリアを使用するなど、内装全体がそのテーマに沿って統一されます。顧客は、この統一感を感じ取ることで、その店舗の魅力や特長を直感的に理解しやすくなるため、リピーターの獲得にもつながります。

特に競争の激しい業界では、独自のコンセプトが競合との差別化を図る要素となり、店舗の個性を強調するための重要なポイントとなります。

 

コンセプト設定の進め方

コンセプトを設定する際には、まずターゲット層を明確にすることから始めます。どのような顧客層をターゲットとするかによって、求められる内装デザインが変わります。また、ブランドメッセージを整理し、店舗が提供したい価値やイメージを具体的な言葉で表現します。

次に、競合店舗を分析し、独自性を確保するためのポイントを探ります。さらに、コンセプトを具体的に視覚化するために、インスピレーションボードやイメージビジュアルを作成すると効果的です。このように、コンセプト設定は単なるデザイン要素ではなく、店舗全体の方向性を示す基盤として重要です。

 

コンセプトが決まらない時は

コンセプトが定まらない場合には、まずは顧客が求めるものに焦点を当ててみましょう。例えば、アンケートやインタビューを通じて顧客の意見を収集し、彼らが求める要素や雰囲気を把握する方法があります。

また、インスピレーションが湧きにくい時には、PinterestやInstagramなどのSNSを利用し、他の店舗デザインを参考にするのも一つの手です。プロのデザイナーと一緒にブレインストーミングを行い、アイデアを出し合うことも効果的です。

時には、コンセプトをいくつか試してみて、その中でしっくりくるものを選ぶ方法もあります。焦らずに時間をかけて、しっかりとコンセプトを練り上げることが大切です。

 

コンセプトは店舗の「魂」

コンセプトは、店舗の「魂」ともいえる要素です。単なるデザインや装飾の選択ではなく、店舗の根本的なテーマや価値観を反映したものです。このコンセプトが明確であるほど、店舗の内装や接客スタイルにも一貫性が生まれます。

たとえば、リラックスをテーマにしたカフェならば、音楽や照明、座席の配置までがそのテーマをサポートする要素となります。

顧客にとって、居心地の良さや特別感を感じられるような店舗は、リピート利用につながりやすくなります。プロのデザイナーと共に深く考え抜くことで、顧客の記憶に残りやすい、魅力的な店舗づくりが可能になります。

 

業種別の費用を把握する

 

設計費用と施工費用

店舗の内装にかかる費用には、大きく分けて設計費用施工費用があります。設計費用は、設計士やデザイナーと打ち合わせを重ね、コンセプトに基づいた図面やパースを作成する際に発生する費用です

一般的には、1坪あたり約3万円から10万円が相場で、店舗の規模や複雑さに応じて変動します。施工費用には、壁紙や床の張り替え、家具の設置といった内装仕上げの費用や、電気・水道・ガスの工事費が含まれます。

特に、居酒屋やレストランのように厨房設備が必要な店舗では、これらの設備費用が全体の施工費を大きく左右します。設計費用と施工費用のバランスを考えながら予算を設定することが大切です。

 

同じ業態の店舗内装を調査する

店舗内装の予算を決定する際には、同じ業態の店舗を参考にすることが有効です。同業の店舗を訪問して内装の仕上がりや設備を観察し、具体的な費用を把握することで、自身の店舗に必要な内装の規模やグレードを判断できます。

また、内装業者に依頼する際には、複数の業者に見積もりを取ることをお勧めします。同業他社の事例や実績を参考にしつつ、最適なデザインとコストのバランスを考慮し、オリジナルな店舗づくりを目指しましょう。

 

店舗の内装にかかる費用の相場

 

店舗の内装費用は、業態や規模によって大きく異なります。飲食店の場合、内装工事費は1坪あたり20万円から40万円程度が一般的な相場で、電気・ガス・水道などの工事費が200万円から300万円程度、空調設備には80万円から150万円程度の追加費用がかかることが多いです。

一方、アパレル店舗では、水回りの工事が不要な分、1坪あたり12万~50万円程度に抑えられる傾向があります。また、内装デザインによっても費用が変わり、例えば高級感を重視したり、SNS映えするデザインにこだわったりする場合は、それに応じて費用が高くなることもあります。

設計費用も含めた総予算を考慮し、必要な内装レベルを設定することが重要です。

特に、スケルトン物件からの改装の場合、全体の費用はさらに高額になることがあるため、初期段階での予算計画が鍵となります。

 

内装以外にかかる費用を調べる

店舗内装の予算を立てる際には、内装工事費以外にもさまざまな費用が発生することを考慮する必要があります。例えば、営業許可を得るための申請費用や、消防法や建築基準法に基づいた改修工事費が発生することがあります。また、店舗運営に欠かせない厨房設備やレジシステム、音響設備、インテリア小物なども含めて計算することが大切です。特に飲食店では、保健所の検査や許可取得のための基準に合わせた厨房の設計が必要となり、その費用が内装以外の出費としてかかります。

さらに、開業後の宣伝広告費や従業員の採用・研修費用なども含めて、総合的な予算計画を立てることが求められます。初期費用だけでなく、ランニングコストも含めた長期的な視点での計画が、店舗の安定した運営に繋がります。

 

見えない部分はコストダウン

店舗内装の費用を抑えるためのポイントとして、「見えない部分」をコストダウンする方法があります。たとえば、店舗の内装で直接お客様の目に触れない場所や設備については、高価な素材やデザインにこだわらず、コストパフォーマンスを優先することが可能です。

具体的には、空調設備や防音材、厨房の内部仕上げなどが該当します。また、前のテナントが残した設備や内装をそのまま利用できる「居抜き物件」を活用するのも一つの方法です。居抜き物件では、設備投資を大幅に節約できるため、低コストでの開業が可能となります。

ただし、前のテナントの造作を引き継ぐ際には、「造作譲渡料」が必要な場合もあるため、契約前にしっかり確認しておくことが重要です。このように、見えない部分を賢く節約することで、全体の内装費用を抑えることができます。

 

店舗内装のデザインについて

店舗内装デザインのテイスト事例

シンプルテイストの内装

 

シンプルテイストの内装は、色を少なく抑え、すっきりとしたデザインが特徴です。白やベージュ、グレーなどの落ち着いたカラーを基調に、直線的で装飾を控えめにすることで、清潔感と洗練された雰囲気を作り出します。

特に美容室やジム、オフィスなど、多くの人が使う場所に適しています。余計な装飾を省くことで、インテリアの選択も容易になり、訪れた人にリラックスしてもらえる環境が整います。シンプルなデザインにより商品やサービスの質が引き立ち、好感度もアップします。

 

モダンテイストの内装

 

モダンテイストは、都会的でスタイリッシュなイメージを演出するデザインです。黒や白、グレーといったモノトーンを基調に、ガラスや金属といった素材を多用します。

照明にはペンダントライト間接照明を使い、ダイニングやバー、アートギャラリーのような場所に向いています。モダンテイストを取り入れることで、高級感が生まれ、特別な空間として顧客に印象を残せます。シンプルな中にも工夫が光る、上質な空間づくりにおすすめのデザインです。

 

ナチュラルテイストの内装

 

ナチュラルテイストの内装は、自然素材を多く使用してリラックスできる空間を作ります。木や石、観葉植物を用いることで温かみが感じられ、心地よい雰囲気が広がります。カフェやエコショップ、ヨガスタジオなど、リラックスした空間が求められる店舗に最適です。

内装全体に統一感が生まれるため、ナチュラル志向のお客様に強くアピールできます。自然の温もりを感じさせるナチュラルテイストで、穏やかで居心地の良い空間を提供しましょう。

 

ラグジュアリーテイストの内装

 

ラグジュアリーテイストは、大理石やシャンデリアなど高級素材を使用し、豪華で洗練された空間を演出します。美容クリニックや高級レストラン、ホテルのロビーなど、特別な体験を提供したい店舗におすすめです。

深い色合いの壁や豪華な家具を取り入れることで、お客様に非日常感を感じてもらえます。特に客単価が高い業種にはラグジュアリーテイストが適しています。顧客が「特別感」を感じる空間づくりで、印象に残る店舗となります。

 

インダストリアルテイストの内装

 

インダストリアルテイストは、工場や倉庫をイメージした無骨な雰囲気が魅力です。コンクリートや鉄、レンガなどを使い、むき出しの配管や鉄骨をデザインに活かすのが特徴です。インダストリアルテイストの店舗は、カフェやバー、クラフトショップなど、若者や個性を求める層に人気です。

重厚感のあるデザインで、シンプルながらも力強い印象を与えます。特にクリエイティブな雰囲気を出したい店舗におすすめのテイストです。

 

ミニマルテイストの内装

 

ミニマルテイストの内装は、必要最低限の家具や装飾で広い空間を感じさせるデザインです。白や淡い色調を基調にすることで、無駄を省いたシンプルな美しさが引き立ちます。

アートギャラリーや写真スタジオ、リラクゼーションサロンなど、空間の広がりを意識した店舗に適しています。シンプルで洗練された印象を与え、訪れた人にゆったりと過ごしてもらうことができます。ミニマルな美しさが生きる、上質で居心地の良い空間です。

 

レトロテイストの内装

 

レトロテイストは、懐かしさを感じさせるデザインで、特定の年代の雰囲気を再現します。昭和レトロやアメリカンビンテージ、ミッドセンチュリーなどさまざまなスタイルがあり、古い家具やインテリアを使って温かみのある空間を演出します。

喫茶店や雑貨店、テーマ性のあるカフェに適しており、訪れる人々にノスタルジーと心地よさを感じてもらえます。レトロな内装で、おしゃれで懐かしい空間を提供しましょう。

 

カントリーテイストの内装

 

カントリーテイストは、欧米の田舎をイメージさせる温かみのあるデザインが特徴です。木材や石材、布地などの自然素材を使い、手作り感や素朴さを活かした家具やインテリアを取り入れます。

家庭的でアットホームな雰囲気が求められるレストランやカフェ、インテリアショップなどに向いています。フレンチカントリーやアメリカンカントリーといった種類もあり、特にリラックスして過ごしてもらいたい店舗にぴったりです。

 

北欧テイストの内装

 

北欧テイストは、シンプルで機能性を重視した温かみのあるデザインが特徴です。白を基調とし、木材や自然モチーフのアクセントを加えて、柔らかな雰囲気を作ります。家具や小物に丸みがあるものを選ぶことで、親しみやすさが増します。

ナチュラルな風合いを大切にしたカフェや、温もりを感じさせたいインテリアショップに適したテイストです。北欧の自然を感じさせる優しいデザインで、お客様に安心感を与えられます。

 

リゾートテイストの内装

 

リゾートテイストは、非日常のリラックスした空間を演出するデザインです。アジアンリゾートやハワイアンスタイル、西海岸風など、リゾート地をイメージした内装で、木材やラタン、石材を使ったインテリアが特徴です。

ビーチを連想させる青系や白系のカラーでまとめると、より開放的な雰囲気になります。リゾート気分を味わえるカフェやスパ、インテリアショップにおすすめです。リゾートテイストで、ゆったりとくつろげる空間を提供しましょう。

 

店舗内装デザインのテイストを決めるポイント

 

出店エリアを調査する

出店エリアの特性や周辺の店舗の内装を調査することで、どのテイストが最適かを判断できます。例えば、観光地や繁華街ではモダンやリゾートテイストが受け入れられやすく、住宅街ではナチュラルやシンプルなテイストが落ち着いた印象を与えるため人気があります。

周辺の競合店をチェックして、同じテイストが多い場合は差別化を図るために別のテイストを採用するのも効果的です。エリアに馴染みつつも独自性のあるテイストを選ぶことで、地域住民にも親しまれる店舗づくりができ、集客力が向上します。

 

ターゲットの属性を考慮する

ターゲット層が好むテイストを選ぶことは、リピーター獲得に繋がります。例えば、20代女性をメインターゲットにするなら、SNS映えを意識したインダストリアルやレトロテイスト、30代以上の女性にはナチュラルや北欧テイストが人気です。

また、商品やサービスの特性によっても適したテイストが変わります。ターゲットが「何を好むのか」「どういう空間で過ごしたいのか」を考慮し、お客様にとって魅力的で居心地の良い空間を提供しましょう。

 

顧客単価を設計する

 

顧客単価もテイスト選びに影響します。高単価なサービスや商品を扱う場合、ラグジュアリーテイストやモダンテイストなど、上質で高級感のあるテイストが好まれます。

一方、低単価の商品を扱う場合は、カジュアルで温かみのあるカントリーやナチュラルテイストが適しています。内装と価格帯が合致することで、顧客の期待に応えることができ、満足度も向上します。ターゲットに合った単価設定と内装デザインのバランスが大切です。

 

店舗のコンセプトを設計する

店舗のコンセプトに基づいたテイスト選びは、ブランディング効果を高めます。コンセプトを明確にすることで、内装デザインに一貫性が生まれ、顧客にとって記憶に残りやすい店舗になります。

例えば、環境に配慮したエコカフェなら、ナチュラルテイストを基調とすることで、店の理念が伝わりやすくなります。店舗全体の方向性を統一するために、コンセプト設計を内装業者と共有し、テイストを選定する際に一貫性を持たせましょう。

 

商品・サービスの魅力を引き立てる

内装テイストは、商品やサービスの魅力を引き立てる役割も担います。例えば、自然素材を使った雑貨を扱う店ではナチュラルテイストが商品の特性を引き立て、シンプルで柔らかい空間が顧客の購買意欲を高めます。

反対に、スタイリッシュな家具を扱う店舗ではモダンテイストが商品の魅力を引き出します。テイストの選び方次第で商品やサービスがさらに映えるため、ターゲットが商品をどう感じてほしいかを考慮して、最適なテイストを選びましょう。

 

店舗内装にテイストを表現するコツ

 

内装材の質感にこだわる

テイストを表現するためには、内装材の質感選びが重要です。例えば、モダンテイストにはガラスや金属などの硬質な素材が、ナチュラルテイストには木材や石材が適しています。特にお客様が直接触れるカウンターや什器の素材感は、店舗全体の印象を左右します。

素材に応じた触感や視覚効果にこだわることで、店舗のテイストをより引き立てることができます。内装材の選択は、店内の雰囲気を直接的に表現するため、テイストに合わせて厳選しましょう。

 

主な配色を3色程度に絞る

内装全体の配色を3色以内に抑えることで、統一感が生まれ、テイストが際立ちます。通常、空間の70%をベースカラー、20%をメインカラー、10%をアクセントカラーにするとバランスが取りやすいです。例えば、ナチュラルテイストでは白やベージュをベースカラーに、緑をアクセントに加えると自然な雰囲気が引き立ちます。

配色の調整により、おしゃれで一貫性のある空間が完成しますので、店舗のテイストに合った色味を慎重に選定しましょう。

 

照明の明るさと色味を検討する

照明は店舗のテイストを決定づける大切な要素です。温かみを出したい場合は暖色系の照明を、クールでスタイリッシュな印象を出したい場合は白色系の照明が適しています。さらに、明るさや配置を調整することで、空間の雰囲気が大きく変わります。

たとえば、ラグジュアリーテイストの店舗ではシャンデリアや間接照明を使用することで、高級感を演出できます。店舗のテーマやテイストに合わせて、照明デザインを工夫することが重要です。

 

テイストに合わせて什器を選ぶ

 

什器もテイストに合うデザインを選ぶことで、内装全体の雰囲気が完成されます。ナチュラルテイストの店舗では木製の什器を、インダストリアルテイストの店舗では鉄製の什器を選ぶと効果的です。また、商品の見せ方にも関わるため、什器のデザインと機能性も考慮しましょう。特に商品の陳列や動線にも影響を与えるため、テイストを強調する什器選びが店舗の個性を引き立てます。

 

顧客体験を想定して設計する

最終的に、顧客が店舗でどのように過ごすかをイメージしながら内装を設計することが重要です。例えば、カフェならリラックスできる椅子や座席間のスペース、店舗の照明、音楽などが顧客体験に大きく影響します。

ナチュラルテイストの空間で自然素材に囲まれると、顧客がリラックスでき、長居したくなる環境を提供できます。顧客体験を念頭に置いたデザインは、集客やリピートにも繋がりやすく、売上の向上も期待できます。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。店舗開業を計画する上で重要な要素は多岐に渡り、全てゼロから設計するのは時間も労力もかかります。店舗開業という一大プロジェクトを進める上で、最も大事なのは「開業のパートナーを見つけること」です。

自分に合ったパートナーを見つけることで、予算も適正になり、オープン前のスケジュールもスムーズに進めることができます。ぜひ今回の内容を把握した上で、業者選びにも役立ててください。

商叶空間建築Laboでは、店舗・オフィス内装の設計・施工はもちろん、物件探し、資金調達のサポートも行っております。開業や内装施工に関するノウハウはYouTubeを中心に発信しておりますので、そちらもご確認ください。

 

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